なぜパートナーシップか?
2022年03月24日 — シンガポールの政府系ファンドであるGICの役割は、預かり資産である外貨準備金の国際的な購買力を長期的に保護し、高めることです。そのためには、外部のファンドマネージャー、共同投資家、投資先企業、サービスプロバイダー、FCLTGlobalのようなコミュニティ組織など、多くのパートナーによる協力が欠かせません。彼らは私たちの投資対象を拡大し、視野を広げ、私たちが内部に持ち合わせない能力を提供してくれます。
GICのパートナーシップに対するアプローチ
パートナーシップについては、最初から長期的なマインドセットを持って向き合うことが重要です。時間をかけて一貫した実績を積み重ねることが、パートナー間に信頼を生むのです。例えばGICは、数々の金融危機を乗り越えて発展途上国市場におけるプレゼンスを保ち続けることで、コミットしたグローバル投資家としての評価を高め、魅力的な投資機会について真っ先に声がかかるようになりました。私たちの長期的なアプローチは、次のような形に現れています。
ライフサイクル・コラボレーション – GICは長期投資を通じて、成果の創出に時間を要するベンチャー事業に対して、パートナーがより確実に取り組める環境を提供しています。また、プライベート市場とパブリック市場をまたいで柔軟に資本を拠出することで、パートナーの様々な成長段階における資本需要へのサポートを行っています。長期保有を前提としたプライベートエクイティ・マンデートのような新しい投資商品に対する支援や情報収集、そして時には立ち上げにも取り組んでおり、こうした取り組みによって、私たちはパートナーシップを強化するとともに、新しい市場への早期参入を可能にしています。
信頼性と機敏さを合わせ持つ共同投資家 – GICは直接投資、および厳選された外部マネージャーとの共同投資において長い歴史を有しており、特に不動産、プライベートエクイティ、クレジット、インフラについての共同投資機会に対応することが可能です。通常、パートナーは各社独自のネットワークを通じて魅力的な投資機会を探索しており、私たちは、迅速なデューデリジェンス、透明性の高い意思決定、公平な条件および追加調査をもとに、彼らの必要資金の一部をサポートしています。近年では、パートナーに対する共同投資への呼びかけを広げ、さらに投資機会を拡大しています。
多面的な投資パートナーシップによる相乗効果 – 私たちは、規模や分野の異なる長期的パートナーとの間で、より多くの取り組みを求めています。例えば、同じ外部マネージャに対して複数のアセットクラスのエクスポージャーを持つこともあれば、投資先企業に対しては、株主、社債権者、さらには事業所の貸主や共同事業パートナーになることもあります。こうしたパートナーシップは、私たちの組織全体を巻き込んだ多様なコラボレーションを通じて強化されています。
建設的なエンゲージメント – GICは、デジタルディスラプションやサステナビリティなど、資産や企業の長期的な展望に影響を及ぼすと予想される分野において、パートナーに対して積極的に関与します。例えば、投資先企業の長期的なサステナビリティに向けた移行を支援しており、その方法は一律ではなく、投資先企業が活動する市場のそれぞれのダイナミクスを認識したうえで支援を行っています。昨年は、AIGCC(気候変動に関するアジア投資家グループ)のメンバー12社と業界レベルで協力し、アジアの公益企業との取り組みを図る「アジア公益企業エンゲージメントプログラム」を立ち上げました。
世界とアジアをつなぐ役割 – GICは、欧米企業のアジア進出におけるパートナーとして、また、他市場への進出や事業ソリューションを求めるアジア企業のパートナーとして、優れた役割を果たしています。私たちのこうした活動は、二者間の紹介や独自のネットワーキング構想を通して実現しています。例えば、毎年開催しているフラッグシップイベント「GIC Insights」では、トップビジネスリーダーを集め、長期的な課題について議論しています。また、シリコンバレーを拠点とするイベント「Bridge Forum」では、シンガポール経済開発庁(EDB)と協業し、GICのネットワーク内でこれまでに約200人にのぼるビジネスリーダーを結びつけるとともに、革新的なスタートアップ企業やアジアに拠点を置く企業との間で450以上の1対1のミーティングを実現させてきました。
まとめ
私たちの成長には、同じ志を持つパートナーと協力し、投資機会を増やし、新しいスキルを獲得していくことが重要です。GICのパートナーシップは幅広い形で実現されていますが、その中核をなすのは、私たちの長期的なアプローチです。このアプローチを通じて信頼と理解を築き上げ、永続的な関係と最大の相互利益をもたらすのです。
この記事は、FCLTGlobalのメンバーが長期的な戦略をどのように実践しているか、実際の事例をまとめた『FCLTGlobal’s 2022 Blue Book』に掲載されたものです。